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姜尚中『オリエンタリズムの彼方へ―近代文化批判』岩波書店 1996年 ISBN:4000002589
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私的な思い出で恐縮だけれども,姜さんは私が学部生の頃,まだ確か藤原ゼミを出て国際基督教大学に職を得たばかりで,ウェーバーに関する新しい解釈を中心とした意欲的な論文をいくつか発表されていたと思う。直接の面識はないのだが,ゼミの指導に当たられていた川勝先生が,姜さんの論文を非常にほめておられたのを思い出した。 この本は姜さんのオリエンタリズムに関する諸論考を集めたものであるが,随所にウェーバー研究の蓄積が反映されている。一般の読者にはウェーバーがフーコーやサイードと並列して語られるのにややとまどいをおぼえる人もあるかもしれないが,ウェーバーが『支配の社会学』での試みが,フーコー流の「規律の歴史―社会学」という視点から見事に連結され,<支配する知>と権力の関係を<文化の中心―外部>にまで敷延したサイードのオリエンタリズム論まで発展させられてくると,なるほどと得心させられるのだ。 第3章 日本の植民政策学とオリエンタリズム と第4章 「東洋」の発見とオリエンタリズム は,日本の近代史に即して第1・2章までで展開された方法を応用した部分にあたる。「近代日本の文化的同一性が植民地アジアとの差異に依存しつつ,その差異を否定すべき<他者性>に転化させることで成り立ちえた経緯」がそこでは明らかにされる。刺激的な論文である。
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