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吉田孝『日本の誕生』岩波書店 1997年 ISBN:4004305101
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筆者は,近年の日本史学界の成果を踏まえ,その研究の進展が「日本列島」に展開してきた文化の多様性・東アジア世界との連関を明らかにしてきたと評価しつつも,それが天皇制という「国制」にどう結実していったか,また国制史研究にどのような射程をもつのか明らかにされていないと述べる。本書は小著ながらも,天皇を核とするヤマト(=「日本」)の古典的国制の成立事情を説き明かす知的刺激に満ちた書である。 筆者によれば古典的国制が成立したのは平安時代である。一般に,平安時代は古代律令制国家がまさに「崩壊」していく時代であり,また明治維新の復古革命はそうして出来上がっていく中世・近世の国制を否定していく過程であるととらえられる。 しかし,幾度となく「日本王朝」断絶の危機にさらされながらも(そしてこの「日本王朝」の危機は東アジア世界の動乱期に符合する),ヤマトの古典的国制が生き延びていったことこそが,逆に近代以降においてそれを否定的にとらえる言説が流布した原因であるとの,筆者の指摘は重要である。東アジアにおける交通(ヒト・モノ・カネ・情報の流れ)が日本国制の独自性をいかに形成してきたか,あらためて考える端緒となるであろう。
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