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森永卓郎『<非婚>のすすめ』講談社現代新書 1997年 ISBN:4061493388
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筆者の<非婚>のすすめは、言い換えれば、日本社会がシングルライフ型社会へ積極的な転換をはかるべきであるという提言である。日本の家族構造・社会構造の大部分がごく最近の(主に戦後の企業中心社会の要請にそったものである)歴史的形成物に過ぎず、それが絶対化される根拠は薄弱であるというのが、筆者の主張の根拠である。第1章で展開される“戦後の企業の産児制限が「標準家族」を生み出した”という指摘は、ながらく社宅住まいでまさにそうした「標準化された」家族の中で育った身としては身につまされる。 第2章の“恋愛とセックスと結婚”のトライアングル構造についての考察は興味深かった。たとえば流行歌のなかに現れるこうしたトライアングル構造肯定のフレーズの変遷、という着眼点はユニークである。また従来の終身雇用制が崩壊すれば、逆に女性の自立がすすんでいくとの指摘は当然といえば当然だが、それをサポートするような経済制度(税制など)が実はすでにあるのだと指摘した第3章は、この本の中のもっとも重要な部分である。しかし、残念ながらこの第3章の例示がわかりやすいとは言えない。とくに日本の税制が「専業主婦有利」という固定観念があるのだから、もう少し丁寧な解説を加えるべきだったのではないだろうか。 成長神話の裏には、「かくあるべし」という「家族神話」があり、それがいま崩壊しつつある。成長神話にこだわらず、新しい「家族」(シングルライフも含む)を積極的に探っていこう、との筆者の主張には大筋で賛成ではあるが、それを「市場原理」で解こうとしている点に問題はないのだろうか?
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