最終更新日:04.04.04
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山本博文(絵=黒鉄ヒロシ)『サラリーマン武士道−江戸のカネ・女・出世』講談社現代新書 2001年2月20日初版 ISBN:4061495410

(c)講談社
 『週刊現代』連載のコラムを編集したもの。内容は,しかし,なかなか高度で面白い。

 東大史料編纂所の山本教授。どうやら『週刊現代』とやらにこうした軽めの読み物を連載していることを,同僚?の先生方からやっかみの目で見られているらしい。「おわりに」で,“『週刊現代』は買って読みづらかろうが,これならどうだ!読めるだろう”と開き直っていらっしゃる辺りがそう感じさせる。

 「現代日本の原形を形作った江戸時代の武士社会というものを,時代劇的切り口ではなく知ってほしい」というのも何だか東京大学というサラリーマン社会に向けての内向きの弁解っぽくて面白い。

 もっとも「婦人の放尿音で出世を占った」なんていうのは,講談社現代新書に入っても,『週刊現代』向きのネタかもしれないが。

 ところで,武士社会がいまのサラリーマン社会と何ら変わることところがないことは,本編を読んでいただければ合点が行くと思うのだが,江戸時代の武士は全人口の10%に満たない。どこからどこまでが武士なのか..という問題もあるけれども,多く見積もっても10%をそう多くは超えないであろう。

 とすると,「現代日本の原形を形作った江戸時代の武士社会」という言い方も誤解を招く言い方なのかもしれない。

 やたら武士,武士というが,実際に自分の祖先が武士だった人々はほんのごくわずか。むしろそのわずかな武士に特有なエートスが社会に広まっていったことのほうが,不思議な感じがする。


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