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吉見俊哉『「声」の資本主義―電話・ラジオ・蓄音機の社会史―』講談社選書メチエ 1995年 ISBN:4062580489
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「空間の均質化,時間の直線化,言語の普遍化」。これらメディアがもたらした“社会空間の「市場化」”とナショナリズムの関係を鋭く突き,今なお新鮮さを失っていない古典にB.アンダーソンの『想像の共同体』があるのだが,アンダーソンが強調したメディアはプリント・キャピタリズム(出版資本主義)であった。 吉見氏が,着目するのは1920年代から30年代に成立する電話・ラジオ・蓄音機を通じての“「声」の資本主義”であり,それが出版資本主義を補完しながら展開していく様である。 もちろん,出版資本主義から“「声」の資本主義”への流れは,単純ではない。初期の電話コミュニケーションのあり方など,資本の想定した使われ方とはまったく異なっていた。電話交換手たちが生み出していった2次的なコミュニケーションのエピソードなどは,決して笑い話として済まされる問題ではなく,メディアがその草創期にもっていたであろう「中間的な」コミュニケーション組織構築の可能性を示唆しているのである。そこには新しいメディアの担い手としての女性という,ジェンダー論も重ねられて問題は錯綜してくるのだが。 翻って,現代のインターネットや携帯電話,さまざまなニュー・メディアは,果たしてその文化的創造力を発揮しうるのであろうか?
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