最終更新日:04.04.04
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坂井隆『「伊万里」からアジアが見える―海の陶磁路と日本―』講談社選書メチエ 1998年 ISBN:4062581302

(c)講談社
 著者は「モノから見た近世日本の対外交渉は,限りなくアジアとの関係が強い。陶磁器を中心とした文物から振り返れば,「ヨーロッパの植民地」ではないアジアの姿が,大きく映し出される。」と述べている。

 一応,地理的な空間としてはイスタンブールからインド洋を経て,ジャワ,台湾,琉球,長崎へと通じる「イマリロード」が想定されているのだが,その叙述は,圧倒的に海の交差点であった東南アジア海域世界に集中している。ジャワ・バンテン,アジア港市社会としてのベトナム,琉球,いずれも近世アジアの貿易を担った拠点であった。

 「伊万里」はその一つの事例にすぎない。むしろ,モノの流通史というよりも,そこに活躍した商人たちの姿を描くことで,筆者は「アジアと繋がりえたかもしれない」近世日本の外交通商のあり方を惜しんでいるかのようだ。江戸初期において,明の遺臣・鄭成功を支援できなかった幕閣に対する評価にもそれは現れている。それは現代の日本とアジアの関係に通じる問題提起なのである。


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