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玄田有史+曲沼美恵『ニート―フリーターでもなく 失業者でもなく』幻冬社 2004年 ISBN:4344006380
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ニート(NEET)とは,Not in Education, Employment, or Training の頭文字をとった言葉で,現に教育も受けておらず,就業せず,就業のための訓練も受けていない主に若い人々のことを指す。「働くことにも学ぶことにも踏み出せない人」ということだ。現在の日本には,25歳以下に限っても40万人以上のニートがいると言われているが,その実態はよく知られていない。 この本は,そうした日本のニートの現状を捉えようとした,経済学者の玄田氏とフリーライターの曲沼氏の協同作業の成果である。 玄田氏による部分と曲沼氏の若者たちへの取材記事が噛み合っているかどうか意見が分かれるところだろうが,そもそも学ぶにせよ働くにせよ社会に関わることにとまどい,躊躇している若者に話を聞くこと自体が難しい。インタビューがいつも本の主題に合致しているとは言えないのもやむを得ないだろうし,そうなることは逆に不自然だ。 しかし,記事から垣間見られる彼らの実態の一端は,常日頃若い人に接しているわれわれ大学教員の実感とも共振する。 「何をしていいかわからない」「したいことがとくに見つからない」「いっぱい,いっぱいです」など。 今年もゼミの学生の一人が,「もう,いっぱい,いっぱいなのでゼミをやめたい」とメールで寄越してきた。そのとき一番わからなかったのが,「いっぱい,いっぱい」という言葉。そのときメールで「いっぱい,いっぱいって何なの?」と問い返したことを思い出した。 彼は現に大学で教育を受けているわけだから,ニートではないのだが,この本でも指摘されているニートに共通する感覚=「いっぱい,いっぱい」にまさに合致していたわけで,思わずどきりとした。 そして,そのときまったくわからなかった「いっぱい,いっぱい」という気持ちの感覚がほんの少しだけわかったようにも思う。 多分,何でもきちんとやらないとダメ,ちょっとでもはずれると怖い,テキトーにやっているように見えても,その実ひどく周りからどう見られているか気になる。 玄田氏は,彼らには周りとの「ゆるやかな信頼とつながり」を築くという社会的経験を経る機会がなかった,そして,それは社会の側の問題だと言う。その意味で「誰にでもニートになる可能性はある」。 就職に関する情報は,キャリア教育などという形で非常に早期からおこなわれている。が,本当に必要な生きていくための知恵はそうした情報ではなく,人とどういった形で接し関係を築いていくかの経験である可能性が高い。 「14歳の挑戦」(富山)や「トライやる・ウィーク」(兵庫)の実践事例は,まさにそのことを示唆しているように思われた。
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