最終更新日:04.04.12
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宮台真司・神保哲生『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』春秋社 2003年 ISBN:4393332202

(c)春秋社
 ビデオジャーナリストの神保哲生氏が主宰するニュース専門インターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」で放映中の人気コーナー「神保×宮台 マル激トーク・オン・デマンド」の一部を活字化した本書は,とくに小泉政権発足の前後(2001年2月〜11月),世間一般にも大きな関心を呼び起こしたメディアと政治に関するトピックスを取り上げている。

 ニュース専門のネット放送局と聞くと,TVのニュース解説のネット版と思いがちであるが,1回の長さが時には2時間を超える容量であり,それだけでもTVのニュース解説番組をやすやすと凌駕する。本書はそれを編集したものであり,一層,密度が濃い。加えて既存メディアを厳しく批判する視点が大きな特徴である。ネットをベースにした新しいメディアの登場が,既存のメディアに対する信仰を崩しつつある一つの確実な例証となっている。  実際に本書では,既存のメディア自らが拠って立つ社会システム自体を批判する外部的視点を持たず,自ら巨大な利権集団として振る舞ってしまう問題点に大きく焦点が当てられる。

 また一方で著者たちは,いわゆる市民運動が理念先行で,現実政治に対してあまりにナイーヴであり,結局のところ望むところの政治変革を実現できていない問題を鋭く指摘する。

 市民が政治を変えていくためには,自らメディア・ネットワークをもつ必要があり,時にそれを利用して駆け引きすることが重要だ。「説得しただけでは人は動かない。動かすには取引が必要です」との指摘が,著者たちのリベラルなユニバーサリズムを目指しつつも,実際に取ろうとしている現実的スタンスを如実に示して余りある。

『週刊東洋経済』2004年4月3日号掲載

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