最終更新日:04.09.12
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小浜逸郎『正しい大人化計画―若者が「難民」化する時代に』ちくま新書 2004年 ISBN:4480061886

(c)筑摩書房
 著者は,「一人前の大人」にとって,もっとも重要なものは「誇り」であるという。そして,その「誇り」の現実的裏付けとは,きちんとした仕事に就き,その責任を果たすことであり,恋愛・家族・友人関係などの身近な関係をうまくやっていくことである。

 そうして,はじめて人間は将来に対する適切なイメージを固めることができる。将来のイメージを思い描くことができるのは,実は大人が「死を内在化した存在」だからだ。

 フリーターやニートなどと呼ばれる,「一人前の大人」になれない若者が増大している現状は,若者を社会的・心理的に子どものまま囲い込んでいるさまざまな枠組みがあるからだ。

 著者はこの問題に対して,(1)教育,(2)法,(3)労働,という三つの側面から,きわめて具体的なプランを提示する。「大人化計画」というと,何やら上からの設計主義的な臭さが鼻につくような気がする。事実,著者は「あとがき」で,自分はあの気弱さと全能さのギャップに悩む少年が主人公となるあのアニメに登場する「企てる強者」の立場に立っていると述べる。

 しかし,読み終えてみて感じたのは,この本は,むしろ至極全うな「大人」が,きわめて適確なロジックに基づいて提示する,切実かつ説得力に富んだものだということだ。

 ところどころ引かれる具体例もわかりやすく,結論を引き出すための無理が感じられない。いかに結論が過激に見えても,こうした無理のないロジックにはどこか安心できる。

 天下国家を論じる立場にあるはずの,議員先生方の勉強の足りなさ,現状認識の古さには絶望的になってしまうのだが……。


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