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網野善彦『日本中世に何が起きたか ― 都市と宗教と「資本主義」 ―』日本エディタースクール出版部 1997年 ISBN:4888882584
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魅力的な問題提起に富んだ刺激的な著作である。 14世紀以降の日本が,少なくとも今まで用いられてきた意味での「封建社会」の規定では包摂しきれない実態を含んでいたことは明らかで,そこには商業,金融等の信用経済を支える「市場原理」が貫徹していた(p.64) との指摘は,むしろそうでなければつじつまが合わないような「近代」からの直感を裏付けているようで心強い。また氏の聖賎論と「市場」の誕生のかかわりについての仮説も興味深い。聖と俗の境界に生きる人々が,商業・金融・技術・芸能などを担っていったとするならば,逆にそうした行為を統御する「技術」が制度的に確立していったところに「近代」を位置づけることが可能なのではあるまいか。 一点,注意しなくてはならないのは,氏も中世の「資本主義」を括弧付きでくくっていることからもわかるが,いわゆる「産業資本主義」を「資本主義(商業・市場)」とのかかわりでどうとらえるかが,なお問題として残されていよう。「本源的蓄積」を「資本主義」勃興の先行条件として提示したマルクス主義の理論を突破していくヒントが,資本主義への“独自の”展開を示した「日本史」のなかにあらためて探られねばならないであろう。その意味でも網野史学における“百姓=非農業民(すなわち,非土地所有民)”仮説は重要である。 |
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