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27日,日本中世史の網野善彦氏が亡くなった。享年76歳。
最初に網野氏の著作を読んだのは,平凡社選書に入っている『無縁・公界・楽』だった(現在は増補版が出ている。また平凡社ライブラリーにも収録されている)。大学生の時だったか,高校生の時だったか,ちょっと記憶に定かではないが,エンガチョの話からはじまって,縁切り寺や漂泊民,楽市楽座などに共通する原理を積極的に評価し,かつ土地に緊縛された農民(と,同時に土地制度から歴史を見る歴史観)の不自由さに目から鱗が落ちる思いだったのを鮮やかに記憶している(ただその時は知的興奮というまでには到達していなかったかもしれないが)。
その後,『日本中世の非農業民と天皇』『異形の王権』『日本社会の歴史』などなど,網野氏の多数の業績についてはもちろんフォローし切れていないが,いつ読んでも何かしらの考えるヒントが氏の著作にはあった。歴史を勉強する上で大事なのことの一つに「想像力」があると思うが,氏の著作はそうした想像力を羽ばたかせくれるパワーがあった。
しかし,それは「想像力」を裏付ける史料的裏付けがあってこそである。氏自身,能登時国家の「襖の裏張り文書」をはじめとして,それまでうち捨てられていた新史料を根拠にして「非農業民」の世界に肉付けをおこなってきたわけだが,まだまだこれから検証されるべき面白い「物語」も残されているように思う。
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