1月1日お正月。ジョルジオや,この日の泊まり客のスウェーデン人の父子に“Happy New Year!”と挨拶。朝食を食べながら,ジョルジオからこのB&Bはまだ初めて年足らずであること。人が好きで,季節に応じてパレルモのいろいろな魅力を泊まり客に案内したいこと。それでお金をとってしまうと用事があるときも必ず行かなければならず,また,いつも同じ場所に行かなければならないので,常に新しいパレルモの魅力を自分で発掘し,時間の許す範囲で,遠方の場合はガソリン代くらいで無料で案内することが自分の楽しみでもあること。宿泊客は今のところ順調に増えているので,少しずつ規模を拡大していきたいことなどの夢を聞かせてもらう。
イギリスにも多くのB&Bがあり,単に空き部屋を開放しているようなところから,我々がバイブリーで泊まったB&Bのように部屋をオーナーの趣味でとてもかわいらしくコーディネートしたところなどさまざま。ジョルジオは(今のところ)独身の男性なので部屋はそっけないが,アクティビティの方でサービスしてくれるのが特徴だ。ジョルジオの人柄もあって,世界から多くの人がこれからもここに集まるだろう。ジョルジオの事業の成功を祈りたい。
ジョルジオに別れを告げて,パレルモを出発。元旦ということで通りには車も少なく,楽に市街地を出ることができてラッキーだった。
アウトストラーダを快適にドライブし,ギリシャ時代の遺跡があるセジェスタに寄る。ジョルジオにも「今日はフットボールができるほど空いているさ」と言われたが,まさにそんな感じだった。この路線(パレルモ〜トラパーニ)も無料。ここには紀元前5世紀の神殿や紀元前3世紀の円形劇場などのギリシャの遺跡が残っている。中でも神殿は,今でも36本のドーリア式の円柱が奇跡的に残っており,丘の上に建つ姿が美しい。神殿の建つ丘から谷を隔てたより高い丘にあるのが昔の砦と円形劇場で,道端にはマーガレットの花や名前はわからないが黄色の花が可憐に咲いていた。マーガレットは日本では花壇やプランターに植えられたものしか見たことがないが,本来はこのように野に咲く花なのだなぁと実感する。冬の1月でさえこうなのだから,春や夏はさぞ季節の花が美しいことだろう。同じ道を歩いたであろうギリシャ人たちののびのびとした生活が偲ばれた。
左がセジェスタのギリシャ神殿遠景。もちろんすぐそばで見られます。右がマーガレットの花畑
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昼食は,土産物などを売っている売店でピザパン。
再び車に乗り一路エリーチェへ。トラパーニの一つ手前で高速道路を降り,エリーチェへのくねくね道を登っていくと,頭上にエリーチェの町が現れた。登るに従って雲がかかり,町に着いたときには細かい雨になった。町の入り口に駐車場があったのだが,地図で見るとホテル前の道もそこそこ広そうに見えたのでホテル前まで行こうとしたところ,これが大間違い。中世の石畳の狭い道に,路上駐車している車がある。両脇20cmくらいの余裕でそろそろと車を進める。あと少し,というところで壁にこすって車の左わき腹に瑕が!夫,大ショック!左ハンドルで右側の車幅感覚に気を取られすぎて,左に寄りすぎた。失敗。免許を取ってすぐの頃(かれこれ20年以上前),富田林の旧市街で電柱に左後部ドアを当てて,へこませて以来の失態。
それでも何とかホテルの側まではたどり着き,私ひとり車を降りてホテルで「どこに駐車すればよいか」ときくとすげなく「町の入り口の駐車場」と言われてしまった。。。またもやそろそろと車を進めて駐車場に入り,雨の中石畳道をごろごろスーツケースを引っ張ってホテルにチェックイン。観光シーズンの夏場以外は閉めているホテルも多く,我々が宿をとったのは「ホテル・モデルノ」という三つ星ホテル。ちょっと手狭だが可もなく不可もないといった普通のホテルだった。エリーチェの町中に車は入らないほうが無難。本当にギリギリ。
さて,エリーチェだが,豊饒の女神・エリチナに捧げる儀式のための場だったことに起源をもつ町。サン・ギウリアーノ山の頂上に造られ,中世のシティ・ウォールと美しい石畳の道を持つ,一辺が500メートルほどの小さな三角形をしている。
三角形の頂点の1つには,エリチナの神殿跡に造られたペポリ・エ・ヴェネーレ城があり,もう1つの頂点付近の市壁には古代フェニキア文字が残るという。その他,市内にはシチリアの他の町と同様,時代時代の特徴を持つ教会や建物が残っている。
チェックイン後は,日没まではまだ少し時間があったのと雨が何とか上がったため町の外周を徒歩で一周してみることにした。三角形の南側に出ると,霧と雲の間からかすかに右手にトラパーニの町と海,左手に農地が広がっているのを望むことができた。晴れていれば遠くアフリカまで見える日があるそうだが,“霧のエリーチェ”としても有名である。
左手に歩いていくと,霧の中から断崖絶壁の上にそそり建つペポリ・エ・ヴェネーレ城が姿を現した。荒廃しているのが凄みと風情を増している。やがて霧が濃くなり,数メートル先は真っ白で何も見えないほどになる。サン・ジョバンニ教会があるはずの広場に向かうが,かろうじて大きな建物があることがわかっただけだった。
日が落ちたためホテルに戻ることにしたが,町は迷宮のように入り組んでおり,人気のない細い石畳道を霧の中にうっすら浮かび上がる街灯を頼りに歩いていると,この世とは違う不思議な世界に迷いこんだかのようだった。
左上 霧に包まれたサン・ジョバンニ教会
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左上 マトリーチェ教会
右上 断崖に建つペポリ・エ・ヴェネーレ城
霧のエリーチェの石畳の道 さすがにここは自動車は通れない
それでもメイン・ストリート(といっても細くて短い)に出ると,シチリア焼きやこのあたりの名産品(マルサーラワインやチーズ,トラパーニの塩,ハム,ジャムなど)を売る土産物店が並んでいて観光客で賑わっていた。その中に1軒のお菓子やさんを発見。エリーチェはお菓子やさんが多いのだが,特においしそうに見えたので店に入ってみる。Grammatico Maria という名前のその店で,私は GENOVESI という焼き菓子,夫は洋酒を使ったケーキを買い,その場で食べる。GENOVESI はふっくらしたビスケット生地の中にカスタードクリームが入っていて,焼き立てをいただくと非常に美味。失礼ながらこんな田舎町でこんなにおいしいお菓子に出会えるとは思わなかった。(詳細はこのページを。左上のHOME をクリックして,さらに Sweets & Pastries から GENOVESI を選ぶと,このお店の GENOVESI が出てくる。有名なお店らしい。皆,これを注文していた。オンラインでも買えるようだが,焼き立てを是非。シチリアでいくつかお菓子を食べたが,砂糖たっぷりのカッサータ以外は,美味しかった。)
さて,この日の夕食はホテルのレストランで。メニューは,前菜がセルフサービスのアラカルト,1皿めが夫がクスクス(クスクスはトラパーニなど主に西海岸のほうで食べられるようだ。シラクーサなどでは見かけなかった),私がイカスミのリゾット。2皿めは,夫がエビのグリル(ガンベリという。スカンピはアカザエビで小振りだが,ガンベリは車海老の大きさ。味噌もたっぷり入って,美味)。私がシーバスの塩焼き。塩焼きの塩は塩田で有名なトラパーニ産のものだろうか? 塩とレモンだけの味だが,塩もレモンも味がよく,もちろんシーバスも新鮮でとても美味しかった。